月経は1ヶ月の「成績表」——体のリズムと向き合い、子宮の声を聴くための今日からできるセルフケアとは 【モエさんインタビュー】

月経は1ヶ月の「成績表」——体のリズムと向き合い、子宮の声を聴くための今日からできるセルフケアとは 【モエさんインタビュー】

Written by: Tomoko Horie

 

 

忙しい日々に追われ、心身からのSOSを無視していませんか?

家庭や仕事に追われ、自分のことが後回しになっている――こうした焦りを感じるあなたへ。それは、自分自身の声を大切にしてほしいという体からのサインかもしれません。

今回は、「植物と月経リズムに寄り添う暮らし」を発信し、オリジナルプロダクトも展開するMoe(モエ)さんにインタビュー。かつてはヨガインストラクターとして多忙を極め、深刻な体調不良に悩まされていたモエさんが、ある出来事をきっかけに「穏やかな暮らし」へとシフトし、今の心地よいライフスタイルを手に入れるまでの軌跡を伺いました。

インタビューから、自分の体調不良は単なる体質ではなく、日々の生き方の「成績表」だったという気づき。さらに、忙しい毎日の中でも自分の心と体の声を聞き、本当の心地よさを取り戻すための具体的な最初のステップについてお聞きしました。

 

 

命を守るために手放した「頑張りすぎる」自分




ーー今の活動を始める前は、どのような生活を送られていたのでしょうか?

2018年に子宮頸がんになる前は、フリーランスのヨガインストラクターとして働いていたのですが、とにかくスケジュールが埋まっていて、月に1日休みがあればいいという状態でした。フリーランスなので働けば働くほど収入になるし、当時の私はスタジオを盛り上げる先導役としての役割に誇りを持っていたんです。とにかく日本全国、時には海外を飛び回りながらレッスンや養成講座を詰め込んでいました。



ーーかなりハードな環境ですね。その中でご自身の体調の変化は感じていましたか?


年に1、2回は全く動けない日が必ずありました。それに加えて、ヨガを教えて健康を伝えている身でありながら、私自身の生理痛や生理不順は一向に改善しなかったんです。「生理痛が治る方法」を人には伝えているのに、自分は一向に良くならないという矛盾を抱えていて。それがずっと自分の中での悩みでした。


今振り返れば、体が「限界だよ」と言っていたのに、心が先に走ってしまって全く気づけていなかったんです。


ーーどうやって、子宮頸がんであることがわかったのですか?


たまたま不正出血があり、スノーボード旅行中に妹に勧められて病院へ行きました。まさか自分が、という気持ちでしたが、検査の結果、子宮頸がんと確定したんです。26歳の時でした。
告知された時は本当にショックでした。「このままの生き方では、私の命は早くに終わってしまうかもしれない」。がんという言葉の重さと、自分の命のリミットを突きつけられたことで、それまでの生き方が根本から崩れました。すぐに手術の段取りを組み、その後も再発への恐怖と戦いながら、毎月の経過観察に怯える日々が1年以上続きました。

 

多様な効果を持つさまざまなハーブを組み合わせて、お客様にあったハーブを調合している

 

 

ーーそこから、どのようにライフスタイルを変えていったのですか?


忙しく仕事をしていた当時は、家に寝に帰るだけの生活をしていたんです。そこで『キャリアより命が大事』と腹をくくり、レッスンを圧倒的に減らしました。

がんになる少し前、心理セッションを受けたことがあるんです。「あなたは何がしたいの?」と聞かれ、何も考えずに口をついて出たのが「穏やかな暮らしがしたい」という言葉でした。

その言葉を頼りに、自炊や手仕事を楽しむ生活へシフトしていったんです。それと同時に、自分をいたわるセルフケアとして『よもぎ蒸し』を続けたことで、あんなに重かった月経不順や生理痛が劇的に改善していきました。


生理を「一ヶ月の成績表」として捉える




ーー現在はどのような活動をメインにされていますか?


「よもぎ蒸し」をより身近に感じてほしいという思いから、2024年にオリジナルの椅子とポンチョを開発しました。現在はそのプロダクトを日本全国や海外へお届けすることを主軸にしています。


あわせて、自身の畑で採れたハーブを調合し、お客様の周期や気分に合わせたパーソナルなハーブスチームの提案も行っています。週に1度はヨガのレッスンも担当しており、心身を整える大切さを日々お伝えしています。



ーー忙しい毎日の中で、子宮の声を聞くための「ファーストステップ」として何ができるでしょうか?


一番分かりやすく、誰でもできるのは「基礎体温」を測ることです。妊娠希望の有無に関わらず、毎日の体温は自分の体調リズムを映す鏡になります。最近はアプリと連携して自動で記録してくれるものも多いので、3〜4ヶ月ほどデータを取り続けると、自分の体のパターンが見えてきます。

もう一つのステップは「日記」を書くことです。1行でもいいので、その日の気分や「誰かに会いたかったか、会いたくなかったか」といった心の動きを記録してみてください。出来事だけでなく「心の履歴」を残すことで、体温のデータと照らし合わせた時、自分がどんな時に調子を崩しやすいのかという法則が見えてくるようになります。

子宮は、日々の暮らしの積み重ねに対する「成績表」のようなものです。忙しくして嫌なストレスを抱えれば、経血の量や痛みとして、正直に答えが返ってきます。だからこそ、生理を嫌なものと捉えるのではなく、自分の生活を振り返るための大切な指針として見てあげてほしいですね。



ーー サロンでのよもぎ蒸しになかなかいけない人が、家でも手軽にできる子宮ケアを教えてください。


温かい飲み物を飲んだり、お風呂にゆっくり入ったりするのも素敵ですよね。でも、子育て中の方だと、実際はゆっくりお風呂に入るなんて難しいじゃないと思います。

そこでおすすめしているのが、ヨガの「月礼拝」の動きです。

女性の骨盤は生理周期に合わせて開閉しており、月経期に開き、排卵期に締まるとも言われています。この開閉がスムーズにいかないと、生理痛やPMSが起こりやすくなります。

現代の女性は股関節を深く動かす機会が本当に少ないですよね。昔の人は和式トイレや畑仕事でしゃがむなど、日常的に股関節をよく動かしていました。月礼拝は、この股関節の動きをスムーズにするセルフケアとして誰にでもできて本当におすすめです。

ヨガの動きが難しければ、「四股(しこ)を踏む」だけでも十分ですよ! 膝を外に開いてしゃがむだけで、股関節周りの血行が良くなり、骨盤の開閉をサポートしてくれます。週に数回やるだけでも変化を感じられるはずです。


(参考:月礼拝の動きはこちらの動画からも見ることができます)
『Moon rhythm yoga 🌙月経リズムに寄り添うヨガシークエンス』


 

 

ーーPMSの時期を心地よく乗り切るための、「モエさん流・心の持ち方」はありますか。


PMSの時期って誰でも波がありますよね。私自身、完璧ではなくてカリカリしてしまう時もあります。この時期を心地よく乗り切るために、完璧主義の人ほど試してほしいのが、自分の中の「〜しなければならない(Have to)」を見つけることです。

私はこれを「ハフ・トゥー・リスト」と呼んでいるのですが、一度ノートに「しなきゃいけないこと」を書き出して、「これって本当に今しなきゃいけないの?」と自分に一つずつ聞いてあげるんです。

「子宮の叡智(えいち)」という考え方があり、これは女性の月経サイクルを「四季」に例え、そのリズムに合わせたケアを行うことで、本来の自分を取り戻すというものです。PMSが起こりやすい生理前は「内なる秋」にあたります。春や夏はエネルギーが外に向いてアクティブになりますが、秋はだんだん一人で読書したり、カフェでゆっくりしたくなったり、内省的になるごく自然な時期です。

生理前は、無理に外に行こうとせず、温かいお茶でも飲んで一人でゆっくり過ごす。そして「こうあるべき」から離れて「私は本当は今、何をしたい?」という心の声を聞いて、自分に寄り添ってあげるのが、この時期の心地よいマインドの保ち方かなと思います。


無理をしない、自分だけのサイクルを作るヒント 

 

ーー月経サイクルが4つに分かれるというのは聞いたことがあります。モエさんは月経のリズムに合わせてどのようにスケジュールを組んでいますか?


自分の中に「四季」が巡っているイメージを持つと、過ごし方がとてもシンプルになります。人によって季節の長さは違いますが、私の波の乗り方はこんな感じです。

まず、生理が終わった卵胞期は「内なる春」(5~7日)。体がスッキリ軽くなる時期なので、お散歩をして気分転換したり、お買い物に行ったりするのを優先します。

排卵期の短期間は「内なる夏」(2~3日)です。エネルギーが最高潮になり、自分を表現したくなる時期なので、そこはストッパーをかけずに思い切り楽しみます。

そして生理前の「内なる秋」(10日〜14日ほど)は、とにかく内省の時期として、一人でゆっくり過ごす時間を最優先にします。

最後の生理期は「内なる冬」(3~7日)です。骨盤がゆるんで開いているので、とにかくリラックスすることが大事。忙しくて丸一日休めなくても、スケジュールの中に「1日に10分〜15分、何もしない時間」をあえて設けて体を休めます。

こんな風に自分の体に季節が巡っていることを意識するだけで、体に注意が向き、無理のないサイクルが作れるようになります。

 

モエさんの自宅の畑でもハーブを栽培している

 

 

完璧を目指さず、自分だけの「心地よさ」を探す

 

 

ーー子育てや仕事をしていると、自分のサイクルと外のスケジュールが合わないことも多いですね。モエさんはそういった時をどのように乗り切っていますか?


今の社会は、常にエネルギッシュで社交的な「内なる夏」の姿を求めてきますし、アップデートし続けることが常識のようになっていますよね。でも、私たちは生身の人間ですから、どうしても動けない「秋や冬」の時期があります。

そういう時、私は「今はちょっとできないかも」と周囲に伝える勇気、あるいはメールなどで断る勇気を持つようにしています。

そして、何より大切なのが日頃からの積み重ねです。私自身、パートナー(夫)と暮らしていますが、日頃から協力して家事などの生活面を分担しています。生理前になって急に頼むのではなく、日常の中でお互いに助け合える関係性を一歩一歩築いていくことが大切だと思います。

そもそも人間って、生まれた瞬間に大声で泣きますよね。あれは周りに「私を助けて、守って」とアテンションを送っているんです。野生の動物は生まれた時にそうやって鳴きませんが、人間は周りに委ね、助けを求めることができる特別な生き物なんです。

だからこそ、もっと周りに委ねることも大切です。「頼らないこと」が日本の美徳とされがちですが、私たちは心も体も周りとつながりながら生きています。

「今はできない」と周りに委ね、頼ってみる。その練習を重ねていくことが、忙しい現代の女性が心地よく生きていくための、一番のヒントではないかなと思っています。

 

 

 

 

 


プロフィール:
Moe Nakamura
自然のリズムと調和した暮らしを大切にしながら、心と身体を整えるセルフケアを提案。
自身の子宮頸がんの経験をきっかけに、自分と深く向き合う時間の大切さに気づき、女性のためのセルフケアブランド「Maeve」を立ち上げる。
ヨニスチームの開発・販売をはじめ、オンラインコミュニティの運営やワークショップ、リトリートなどを通して、体の声に耳を傾ける暮らしをサポートしている。

『Maeve』HP: https://maeve-official.com/
Instagram: https://www.instagram.com/nakamoe__/
Youtube : https://www.youtube.com/@nakamoeroom
 
ライター:
堀江知子(ほりえ ともこ)
香港在住ライター
民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。
2025年からは香港に移住しフリーランスとして活動している。noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。
出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。
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