Written by: 大浦沙織

「オーガズムを感じてみたい」
「もっとセックスを楽しんでみたい」
「パートナーとの関係をより良くしたい」
そんな想いがあったとしても、性について誰かに相談したり、本音を話したりするのは勇気がいるもの。
けれど、性欲は食欲や睡眠欲と並ぶ三大欲求の一つ。
私たちの心や身体、そして人生そのものにも大きく関わる、とてもパワフルなエネルギーです。
女性向けプログラム「YONIVERSE」を主宰するkokoさんは、「セックスが整うと人生が整う」と語ります。
性を学ぶことは、自分を知ること。 自分を知ることは、自分らしく生きること。
38歳で出会ったセルフプレジャーをきっかけに人生が大きく変わったというkokoさんに、性との向き合い方、パートナーシップ、そして人生を豊かにするヒントについて伺いました。
セックスが整うと人生が整う。セクシャリティとの向き合い方が変わった40代後半
──kokoさんはInstagramなどでも「セックスが整うと人生が整う」という発信をされていますよね。kokoさんが考える「セックスが整った状態」とは、どういう状態なのでしょうか?
セックスが整うとは、自分のセクシャルエネルギーを認めて、誰かと比べるのではなく、「私は私のままでいい」と思えることです。「いいセックスをしている」とか、「オーガズムを感じられる」ということではありません。
たとえば、「私はこうしたい」「私はこれが好き」「今日はこれが食べたい」「私はこう生きたい」。
そんな自分の本音や願いを否定せず、「私は本当はどうしたいんだろう?」という声に耳を傾けられることです。
──kokoさん自身は、何歳くらいの時に「セックスが整ってきたな」と感じましたか?
セックスを整えることは、一生続く探求です。その上で、大きく変わったと感じたのは40代後半からです。
それまでは、セックスに対して、「別にそこまで好きじゃない」「そんなに気持ちいいとも思わない」「でも男性の気を引くためには必要なのかもしれない」その程度の感覚でした。
でも、今のパートナーと一緒に、セクシャリティに関するさまざまなワークやプラクティスを続けることで、少しずつ感覚が変わっていきました。
──40代後半になってからセックスが整ってきたとのことですが、一番大きな変化はどんなところに現れましたか?
「誰が何と言おうと私は私」「私はこれがやりたい」と、自分軸ができたことが一番大きな変化です。
実は、今話しをしている時も、私の意識は会陰や子宮のあたり、東洋思想でいう下丹田に近い場所にあります。チャクラで言うと第一チャクラや第二チャクラです。子宮あたりに意識があると、気持ちがぶれにくくなります。私はそれを、グラウンディングしている状態だと感じています。
38歳で出会った「セルフプレジャー」が人生を変えた

──kokoさんが性と向き合ったのは何歳の時でしたか?
38歳の時です。当時の私は6歳の娘を育てるシングルマザーでした。
東日本大震災をきっかけに娘と二人でコスタリカへ移住したのですが、知り合いは誰もいないし、言葉もスペイン語。仕事も辞めていたので、「私、これからどうなるんだろう」と不安を抱えていました。
今振り返ると、「誰か素敵な男性が現れてくれないかな」「私を幸せにしてくれる人が必要だ」と、どこか他力本願だったと思います。
そんな時、娘の学校で知り合ったセックスコーチのお母さんから、「セルフプレジャーのプラクティス」という言葉を聞きました。
「セックスコーチ?!セルフプレジャー?!」当時の私は、自分には関係ない世界だと思っていました。でも「まずは自分で自分を満たせるようになった方がいい」と彼女は真剣に伝えてくれました。
そこで半信半疑ながら、キャンドルを灯し、アロマを焚き、好きな音楽を流しながら、自分の身体に優しく触れてみました。すると、驚いたことに、自然と涙が溢れてきたんです。
それからは、瞑想やヨガ、ジョギングと同じように、セルフプレジャーを生活の一部として取り入れるようになりました。
自分を慈しむ時間を取り入れることで、誰かに満たしてもらうのではなく、自分で自分を満たしてあげられるようになりました。まるで自家発電機を手に入れたような感覚でした。
そして、自分が満たされることで、心に余裕が生まれ、人にも優しくなれ、生きることが楽しくなっていきました。
快感は、誰かに与えてもらうものではない
──kokoさんが主宰されている女性向けプログラム「YONIVERSE」のサイトを拝見していると、「感じるオーガズミックな女性」という言葉が印象的でした。kokoさんが考える「オーガズミックな女性」とは、どのような女性なのでしょうか?
オーガズミックというと、性的な絶頂体験をイメージする方が多いと思います。でも、私が伝えたいのはそれだけではありません。
性のワークを続けていくと、快感や心地よさがベッドルームの中だけではなく、日常全体に広がっていきます。
たとえば、お水を飲む時。ただ飲むのではなく、「きれいなお水だな」「私を潤してくれるんだな」と感じてみる。唇に触れる感覚や、喉を通り、体に染み渡っていく感覚を丁寧に味わってみる。すると、「気持ちいいな」「ありがたいな」「生かされているな」という感覚が自然と湧いてきます。
今受けているこのインタビューも同じです。ただ質問に答えるだけではなく、全身全霊で話をする。
与えられたものをしっかり受け取り、自分のエネルギーも惜しみなく注ぐ。今この瞬間に起きていることを、五感を開いて味わい尽くす生き方を「オーガズミック」と私は呼んでいます。
──オーガズムという言葉を、性的な快感だけではなく、もっと広い意味で捉えているんですね。今日はせっかくなので、「性的なオーガズム」についてもお話を伺いたいです。
私が大切だと思っているのは、オーガズムそのものではなく、「私はこうすると気持ちいい」「私はこういう感覚が好き」と、自分の快感を自分で知ることです。
誰かに委ねるのではなく、自分の心と身体を理解することは、自立した女性にとって、とても大切なことです。
──SNSなどを見ていると、「オーガズムを感じたことがない」「中イキできない」という女性の声をよく見かけます。人にはなかなか相談できないけれど、実は悩んでいる方も多いテーマなのかもしれません。そういう方にとって、オーガズムは後天的に育てていけるものなのでしょうか?
私がオーガズムを経験したのは40代後半になってからです。だから、オーガズムに限らず、快感はどんどん深めていけるものだと、私は思っています。
ほとんどの人は、まだ泉を掘り始めてもいないような状態です。もちろん個人差はありますが、「オーガズムを感じるなんて私には無理」と諦める必要はありません。
快感を深める方法は、実はとてもシンプルです。
一つは、体を緩めることです。
快感が高まると、人はどうしても力が入ります。でも、その時こそ、ベッドや布団に体を預けるように力を抜く。快感が高まったら緩める、また高まったら緩める。それを繰り返していくと、快感の質が変わっていきます。
これは「バレー(谷)のオーガズム」と呼ばれるもので、一過性の「ピークオーガズム」よりも、全身で味わう深いオーガズムです。
そして、もう一つ大切なのが呼吸です。
呼吸は瞑想やヨガだけでなく、セクシャリティにおいてもとても重要です。吸う時にエネルギーを上へ巡らせ、吐く時に全身へ広げていく。そうすることで、一部分だけだった快感が全身へと広がっていきます。
私は、「快感を感じていいんだよ」ということや、「自分の体を知ることの大切さ」を、中学や高校の性教育で教えてほしいと思っています。
快感は、誰かから与えられるものではなく、自分自身で感じるものです。そして、自分の快感を知ることは、自分らしく生きることにもつながっていきます。私は、その大切さを伝えたくてYONIVERSEを続けています。
「YONIVERSE」性を学び、自分を取り戻す6か月

──YONIVERSEではどのようなことを伝えているのですか?
YONIVERSEは、6か月間の女性向けコーチングプログラム。「女性のための新しい性教育スクール」のような存在です。性器や解剖学、ホルモン、月経、PMS、更年期といった女性特有のテーマはもちろん、男性の体やパートナーシップについても学びます。呼吸法や体の使い方、タオやタントラの考え方を取り入れたワークなども行います。私は、お金とセクシャリティには共通する部分があると思っているので、お金についての話もします。
YONIVERSEは安心して性について学び、自分自身を深く知ることができる、世界一のプログラムだと自負しています。
──YONIVERSEの受講生は、どのような変化を感じられる方が多いのでしょうか?
変化は人それぞれですが、共通しているのは、自分に対する信頼や自信が育っていくことです。
具体的な変化としては、「オーガズムを迎えられるようになった」「セックスレスが解消された」「自分の性器を好きになれた」「性への罪悪感がなくなった」といったものがあります。
ほかにも、「好きな人に想いを伝えられた」「夫に本音を打ち明けられた」「引っ越しや転職に踏み出せた」など、人間関係や人生そのものに変化が現れる方も多いです。
──性について学ぶことで、人生そのものが変わっていくんですね。
性欲は食欲や睡眠欲と並ぶ三大欲求の一つです。だからこそ、セクシャルエネルギーが身体の中を心地よく巡ることで、人生全体にも良い循環が生まれてくる。私はそう思っています。
必ず訪れる倦怠期。だからこそ、意識的につながる時間をつくる
──kokoさんのお話を伺っていると、パートナーシップもとても大切にされていることが伝わってきます。パートナーと良い関係を築き続けるために、大切なことは何だと思われますか?
「パートナーシップには必ず倦怠期がある」ことを知っておくことです。
最初のラブラブなハネムーン期がずっと続くわけではありません。だいたい3年ほど経つとホルモンの状態も落ち着き、関係性は必ず変化していきます。お互いの違いが見え、「もしかしたらこの人じゃないのかも......」と感じることもあるでしょう。
でも、その時に別れを選ぶのか、回復期へ向かっていけるのか、その違いは大きいです。
──倦怠期を乗り越えるために必要なことは何でしょうか?
一つ挙げるなら、正直でオープンなコミュニケーションをとることです。
自分の気持ちを正直に伝えることは、相手を傷つけてしまうかもしれないし、嫌われるかもしれないから、怖いですよね。でも、本音を伝えられないでいると、少しずつ距離ができてしまう。場合によっては不倫や浮気につながることもあります。
だからこそ、勇気を出して対話をすることが大切です。
世界的に有名なセックスセラピストのエスター・ペレルも言っていますが、私は「夫婦でつながる時間をスケジュールに入れること」をおすすめしています。たとえば、「金曜日の夜は必ず二人の時間にする」と決めてしまうとか。
子どもがいたり、仕事が忙しかったりすると、気づけばすれ違いばかりになってしまう。夫婦の時間は、意識しないと後回しになりがちです。
二人の時間と言っても特別なことをする必要はありません。高級レストランに行く必要もないし、必ずセックスをしなければいけないわけでもない。
ただスマホを置いて、お互いの目を見て、「最近どう?」「今どんな気持ち?」そんな会話をするだけでも十分です。

──自然に任せるのではなく、意識して時間をつくることが大切ですね。kokoさんご自身はパートナーさんとどのようなコミュニケーションをとっているのでしょう?
私たちは、毎日「今日はどんな良いことがあった?」「今どんな感じ?」そんなふうにお互いの状態を確認しています。
それから、「愛してるよ」「ありがとう」「頑張ってね」そういう言葉も日常的に伝え合っています。
あと、今日は特別に話しちゃいますが、私たちは毎朝お互いの性器に挨拶をするんです。
そうなんです。
彼は私の「ヨニ」に「おはヨニ」と挨拶をし、手を合わせたり、軽くキスをしたりしてくれます。最近は私からも同じように挨拶をするようになりました。
お互いに性器に触れたり、軽くキスをしたりしますが、そこから性的な行為が始まるわけではありません。
「あなたの存在を見ているよ」「愛しているよ」「受け取っているよ」そんな気持ちを伝える時間です。
性の探求は、人生を豊かにする
──最後に、Hummingの読者へメッセージをお願いします。
Humming世代は、「これからどう生きていこうかな」と真剣に考える方も多いと思います。ぜひ「性の学び」も大切なテーマの一つとして捉えてもらえたら嬉しいです。
性はとてもパーソナルなことですし、「こんなこと誰にも話せない」と、一人で悩んでしまう方も多いかもしれません。
でも、性の探求は、すごく楽しくて、人生を豊かにしてくれるものです。
だから、一人で悩まないでほしい。仲の良い女友達でもいいし、お姉さんでもいい。ぜひ誰かと一緒に話をしてほしいです。
もし、そのお手伝いを私ができるなら、とても嬉しく思います。
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コスタリカ在住。セックス・パートナーシップコーチ。女性向けセクシャルウェルネスプログラム「YONIVERSE」主宰。38歳の時、セックスコーチとの出会いをきっかけにセルフプレジャーのプラクティスを開始。瞑想、ヨガ、呼吸法、エネルギーワーク、共感コミュニケーション、海外の性教育トレーニングなどを学びながら、性との向き合い方を大きく変化させていく。現在は、「セックスが整うと人生が整う」をテーマに、女性が自分の身体や感覚とつながり、自分らしく生きるためのサポートを行っている。アメリカ人のパートナーとコスタリカで暮らしながら、オンラインを中心に活動中。YONIVERSEについてはこちら |
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ライタープロフィール大浦 沙織(おおうら さおり)1987年東京生まれ。大学卒業後、損害保険会社の営業事務を6年間経験。その後、夫の海外赴任に帯同するため退職し、1年間インド・ムンバイにて海外生活をおくる。帰国後は、「おうちで働く」を一つの軸に、ベビーマッサージの先生、Webデザインの勉強、物販のお手伝い、ブログ運営、様々なことに挑戦しながら、最終的に「ライター」の仕事に巡り逢う。興味のある分野は、人の働き方・生き方、マインドフルネス、教育。推しはBE:FIRST。プライベートでは2児の母。 |

