見方を変えれば、世界は変わる。いやいや引き受けたPTA役員から学んだ「生き方が楽になるパラダイムシフト」

見方を変えれば、世界は変わる。いやいや引き受けたPTA役員から学んだ「生き方が楽になるパラダイムシフト」

Written by: Tomoko Horie



 

香港から、ハミング編集部の知子が日常の中の小さな気づきをお届けしていきます。読み終えたあとに、今日の自分がもっと好きになれる。そんな時間になればうれしいです。


| まさかの「くじ引き」で引き当てた不運


子どもたちが通う小学校で、今年度のPTA役員を決める集まりがありました。


結果は……見事に「当たり」。くじ引きで役員を引き当ててしまったのです。


正直なところ、胸がぎゅっと重くなりました。「誰もやりたがらない仕事」の代名詞ともいえるPTA。同じく役員になってしまったママ友と顔を見合わせ、お互いにそのショックと悲壮感を隠しきれませんでした。


「どうしよう……よりによって、なんで私たちが?」
「まあ、なってしまったものは仕方ない。なんとか1年間、頑張って乗り切ろう」


そんな言葉を交わしながらも、心の中はどんよりとした雲で覆われていました。


お給料が出るわけでもないのに、責任のある仕事を任される。月に一度は、家からずいぶん離れた小学校まで通わなければならない。保護者の方たちの要望や問い合わせに対応するプレッシャーもある。


ネガティブな要素を探そうと思えば、キリがありません。誰もが嫌がるのも当然だし、私自身も「できれば逃げ出したい」というのが本音でした。


「PTAをやることのメリットって、何か思いつく?」


そうママ友に問いかけてみても、その時は二人して黙り込んでしまうばかり。不安と重苦しいプレッシャーを抱えたまま、PTA役員としての活動がスタートしたのです。



| 思いがけない「嬉しい誤算」


ところが、実際に活動が始まってみると、思いもよらない変化が。


まず、月に一度の定例会に向かう日の移動手段。電車とバスを乗り継いで行かなければならないと思い込んでいたのですが、実は子どもたちが乗っているスクールバスに一緒に乗って通学できることが分かったのです。立ちっぱなしの乗り継ぎルートを覚悟していた私にとって、これだけで「なんてありがたいんだろう!」と感動しました。


さらに、このスクールバス通学には最高のご褒美が隠されていたのです。


それは、「子どもたちが普段スクールバスの中で、どんな風にお友達と過ごしているのかをこっそりのぞき見ることができちゃう」というスペシャルな体験です。


家では決して見せないようなお兄さん・お姉さんぶった表情や、お友達と顔を寄せて楽しそうに内緒話をしていたり……。親の視線を離れた「子どもたちだけの小さな社会」で生き生きと過ごす日常の一コマをこっそりと観察できる時間は、親としても愛おしく、新鮮な発見に満ちていました。




バスが学校に到着したあとも、定例会が始まるまでのちょっとした時間に、朝の教室の様子をそっと見に行ったり、先生方と直接お話ができる貴重な時間が生まれます。


これまでは連絡メールの文章越しでしかやりとりしたことがなかった先生や、毎日子どもたちを安全に送り届けてくれるバスのスタッフさん。そんな方たちと対面で「いつもありがとうございます!」と挨拶を交わし、ゆったりとおしゃべりをする時間。それは、想像以上に心地よいひとときでした。


そして定例会が終わった後は、最寄り駅で役員仲間のママ友みんなでランチ会!


海外で暮らしながら日本の教育や子育てに向き合うことのおもしろさや、日本での子育てとの違いなど、話題は尽きません。新鮮な視点や共感に満ちた会話に耳を傾けていると、あっという間に時間が過ぎていきます。


気づけば、あんなにゆううつに感じていた月1回のPTA定例会を、「明日はどんな表情の子どもたちが見られるかな」「どんなおしゃべりができるかな」と楽しみに待つようになっていたのです。



| 視点をひとつ変えるだけで、世界は優しくなる


「あれ? PTAって、できればなりたくない『魔の体験』じゃなかったっけ……?」


子どもたちのバス通学での様子を見ることができて、学校や先生との距離がぐっと近くなり、さらには気のおけないママ友たちとの楽しいランチ会までついてくる。


嫌でたまらなかったはずの出来事が、いつの間にか、私の日常に彩りを与えてくれる楽しみに変わっていました。


これこそが、いわゆる「パラダイムシフト(物の見方の劇的な変化)」なのだと気づかされました。


私たちはつい、何か問題が起きたときにネガティブな点ばかりに目を向けてしまいがち。「面倒くさい」「損をしている」「なんで私ばかり」とマイナス面を探そうとすれば、どんなことだってどんどん悲惨に見えてきます。


けれど、ほんの少しだけ視点を変えて、「この状況だからこそ得られるポジティブなことは何だろう?」と探してみる。すると、起きている出来事はまったく同じなのに、自分にとっての体験がまるで違うものへと変化するのです。



| 直感の声を信じて、もっと人生を楽しんでいい


もちろん、人間誰だって、いつもポジティブ人間でいられるわけじゃありません。理不尽なことや思わぬトラブルに直面したとき、最初から無理をして「前向きにとらえなきゃ!」と自分を追い詰める必要もありません。


でも「なんで私が!?」と心がモヤモヤしてしまったとき、少しだけ立ち止まって、自分の内側にある直感の声に耳を傾けてみるのはどうでしょう。


「この状況の裏側に、何か小さな『いいこと』や『新しい発見』は隠れていないかな?」


ほんの少し捉え方を変えてみるだけで、生き方が楽になることがあります。




いやいや始めたPTA活動が教えてくれたのは、どんな状況の中にも自分次第で楽しみを見出せるという、しなやかな心の自由さでした。


今日、もしあなたが何か気が重くなることに直面していたら、ぜひ一度、その眼鏡をかけ直してみてください。そこにはきっと、あなたを笑顔にする小さな光が隠れているはずです。



ライター:

堀江知子(ほりえ ともこ)

香港在住ライター

民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ文化や社会問題についての取材を行ってきた。

2025年からは香港に移住しフリーランスとして活動している。noteやTwitterのSNSや日本メディアを通じて、アフリカの情報や見解を独自の視点から発信中。

出版書籍:『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法 Kindle版』。

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