Written by: Saori Oura

鏡を見るたび、シミやシワが気になる。
何を着ても、どこかしっくりこない。
そんなふうに、自分の魅力を見失ってしまうことはありませんか。
「女性はみんな唯一無二の美しさを持っている」
そう話すのは、京都を拠点に活動する印象革命スタイリスト・NAOさん。「17タイプイメージ診断」やメイクアドバイス、同行ショッピングを通して、一人ひとりが本来持つ魅力を引き出すサポートをしています。これまで900人以上の女性と向き合い、外見を整えることを通して、自分らしさに気づくきっかけを届けてきました。
今回は、NAOさんがこの仕事にたどり着くまでの歩みと、一人ひとりの「美しさ」を引き出す秘訣、そしてコンプレックスとの向き合い方について、話を伺いました。
白血病が教えてくれた、「好きに生きる」という選択
― なおさんは、もともと国家公務員をされていたそうですね。公務員からスタイリストの仕事へ進んだのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
私の人生が大きく変わったきっかけは、急性骨髄性白血病でした。
「今年こそ、何か新しいことを始めよう。転職しよう」と決意した矢先に発症し、約7か月、生きるか死ぬかの時間を過ごしました。
最初は「どうして私が」と思いました。でも、ふと気づいたんです。誰にも気を遣わず、一人で静かな時間を過ごしたい。そんな本心が、皮肉な形で叶ってしまったのだと。
数字だけを扱う毎日に、どこか物足りなさを感じていたのも事実です
病気になったことは、「自分のやりたいことや、好きなことを探して生きなさい」という天からの大きなメッセージだったのかもしれません。そう受け止めた私は、退院後、17年間勤めた仕事を潔く辞めました。
それまでは、国家公務員として国立大学に就職し、大学法人化後もずっと経理の仕事をしていました。仕事は安定していて、毎月決まったお給料がもらえる。辞める理由も勇気もなく、気づけば昇格して部下を持つ立場になっていました。
ただ、数字だけを扱う毎日に、どこか物足りなさを感じていたのも事実です。人を育てる立場になったことをきっかけにコーチングを学び始め、「もっと自分に向いている仕事があるのかもしれない」と少しずつ思うようになっていました。
人生を変えた、病室での出会い
― 病気がきっかけで、パーソナルスタイリストの道に進まれたのですね。
私がスタイリストになる原点は、とある女性との出会いでした。
彼女は母くらいの年齢で、がんの再発で入院していたにもかかわらず、毎日鼻歌を歌いながら丁寧にスキンケアをしていました。一時外出の日には、「このワンピース素敵でしょ」「このウィッグ、お気に入りなの」「主人と久しぶりにデートするの」と、少女のような笑顔でおしゃれを楽しんでいたんです。
一方、当時の私は、心も体も限界で、泣いてばかりいました。そんな私に彼女は、「一日一生よ」「泣いたら、お顔が台無しよ」「今を楽しまなくちゃね」と声をかけてくれました。彼女の姿を見て「私も、内面も外見も輝きながら、今を楽しんで生きていきたい」と心から思えるようになりました。
試行錯誤の末に見つけた、印象革命スタイリストという仕事

― 会社員を辞めてから今のスタイルにたどり着くまでには、どのような道のりがあったのでしょう?
最初は、コーチングやカウンセリングに加え、外見からのアプローチも取り入れたマンツーマン講座を中心に活動していました。お客様が自分らしく一歩踏み出せるよう伴走する仕事は、とても楽しかったです。
その後、SNSマーケティングを学び、スタイリストとして活動しながら、起業家の方のゼロからイチを支援する仕事にも取り組みました。
目の前のお客様一人ひとりと向き合い、その人が本来持つ魅力を引き出す。その時間が、私にとって一番幸せだと気づいたんです。
SNSマーケティングは勉強になることも多く、得られたものはたくさんありました。でも、試行錯誤を重ねる中で、「やっぱり好き」と思えたのが、スタイリストの仕事でした。目の前のお客様一人ひとりと向き合い、その人が本来持つ魅力を引き出す。その時間が、私にとって一番幸せだと気づいたんです。
― もともとメイクやファッションが好きだったのですか?
10代の頃から、ファッションが大好きで、会社員の頃は、お給料の半分を洋服につぎ込むこともありました。
でも、子どもが生まれると、自分のことはどうしても後回しになります。おしゃれを楽しむ余裕もなく、動きやすくて汚れてもいい服を選びがちでした。さらに、年齢を重ねると、今まで似合っていた服がなんだかしっくりこない。
そんな時に出会ったのがファッション診断です。第三者からのアドバイスを取り入れてみたところ、「似合うね」と褒められる機会が増え、客観的に自分に似合うものを知ることの大切さを実感しました。
それを機にパーソナルスタイリストの養成スクールに入り、カラーや骨格の基本を学びました。今はメイクアドバイスの精度をさらに高めたいと思い、プロのメイクアップアーティストの方から学んでいます。
外見を整え、自分自身に惚れ直すきっかけを届けたい
全身をトータルで診断する「17タイプイメージ診断」を使い、その人が生まれ持った魅力を最大限に活かす、ファッションやメイクをご提案しています。

私が大切にしているのは、外見を整えることを通して、自分自身に惚れ直すきっかけを届けることです。
多くの方は、自分の魅力や強みに気づけていません。だから、自分ではない誰かになろうと頑張ってしまう。でも、どこかしっくりこない、垢抜けない、自分らしさがわからない。そんな悩みを抱えている方がとても多いです。
診断を受けたお客様からは、「これ、本当に私?」「私じゃないみたい」、そんな声をいただくことも少なくありません。
外見が変わることで、自分自身を見る目が変わり、セルフイメージまで大きく変化していく。その変化を、私は「驚異の印象革命」と呼んでいます。
― 「17タイプイメージ診断」とは、具体的にはどのような診断なのでしょうか?
カラードレープを使って、その方に調和する色を見ていきます。ただ「黄色が似合う」だけではなく、黄色の中でもどのトーンがその人らしい印象を引き出すのかまで細かく見ていきます。
ショッピングや、魅力を引き出すためのメイクアドバイスも行い、「自分で再現できる」ところまでサポートしています。
さらに、骨格やお顔立ち、全体の雰囲気も合わせて分析し、「どんなイメージで自分を表現すると魅力が最も伝わるのか」をご提案しています。
ただ、自分に似合う色がわかっても、「どう着こなせばいいかわからない」「何を選べばいいかわからない」という方は少なくありません。ご希望があれば一緒に洋服を選ぶ同行ショッピングや、魅力を引き出すためのメイクアドバイスも行い、「自分で再現できる」ところまでサポートしています。
本当に変わるのは、自分自身の見方
― 相談に来られる方は、どのようなお悩みを抱えていることが多いですか?

「服はあるのに何を着たらいいかわからない」「年齢を重ねて、今まで好きだった服が似合わなくなった」「似合うメイクがわからない」「仕事で信頼感のある印象を持たれたい」......、そのようなご相談が多いです。
でも、お話を伺っていくと、「自分に自信が持てない」「ずっと自分を後回しにしてきた」「もっと自分を好きになりたいけれど、人と比べてしまう」など、本当のお悩みは服やメイクではないことがほとんどです。
― NAOさんのメイクレッスンやスタイリングを受けた後のお客様には、どのような変化がありますか?
「自分って、実は美人だったんだ。」
そんなふうに、ご自身の魅力に気づく方が少なくありません。
それまでファッションやメイクを楽しめなかった方が、おしゃれを楽しめるようになったり、人と会うことが億劫だった方が「会うのが楽しみになった」と話してくださったり。さらに、「以前の自分なら絶対に挑戦できなかったけれど、一歩踏み出せました」というご報告をいただくこともあります。
外見が変わることで、「私はこれでいいんだ」「私にもできるかもしれない」と、自分に対する見方が変わっていく。私は、外見を磨くことは、あくまでも「きっかけ」だと思っています。
「私は私でいい」と思えたとき、人は美しくなる
― 日本には「細い」「目が大きい」といった美の基準があるように感じます。NAOさんが考える美しさとは、どういうものでしょうか?
私が思う美しさは、自分らしさを受け入れ、それを楽しめている状態です。
どんなに顔立ちが整っていても、自分を否定していたら、その人本来の魅力はなかなか伝わりません。反対に、自分のことを「私は私に生まれてよかった」「私は私が好き」と思えている人には、その人にしかない輝きがあります。
― 自分らしさを知るために、何ができるでしょうか?
自分のことは、自分が一番わからないもの。だから、第三者の視点を借りることは、自分の魅力を引き出す一つの手段だと思います。
信頼できる人に「私の魅力って、どこだと思う?」と聞いてみるのも良いし、顔立ちや骨格などから、似合うイメージを分析してもらうのもいいでしょう。 「え、嘘やろ」と驚くような発見が、自分らしさを知るきっかけになるかもしれません。
だから私は、その人がもともと持っている魅力を活かすお手伝いがしたいんです。
自分のことを「私は私に生まれてよかった」「私は私が好き」と思えている人には、その人にしかない輝きがあります。
コンプレックスと魅力は表裏一体

― コンプレックスとは、どう向き合えばいいのでしょうか?
コンプレックスは、自分の一部として受け入れられたときに、魅力へと変わっていくものだと思っています。
そのためには、一部分ではなく、全体を見ることが大切です。たとえば、試着した時に「二の腕が太い」と、その一点ばかりを気にしてしまうことがあります。でも、全身で見るとまったく気にならないことも多いです。だから私は、試着室では必ず全身鏡で全体を見てほしいとお伝えしています。
自分がコンプレックスだと思っていることが、他の人から見れば魅力に映っていることもよくあります。
メイクも同じです。シミやシワを隠すことばかりを考えるのではなく、魅力が伝わる部分を引き立てることを意識する。気になるところを消すよりも、目線が魅力に向くように整える方が、その人らしい美しさにつながると、私は思っています。
そもそも、自分がコンプレックスだと思っていることが、他の人から見れば魅力に映っていることもよくあります。だから、変えられないことを責めるのではなく、今の自分を活かす方法を知ることが大切です。
美しさは、自分らしく生きるための勇気になる
― 最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。
私は、女性はみんな唯一無二の美しさを持っていると思っています。
私の仕事は、新しい魅力をつくることではなく、「私って、こんな魅力があったんだ」と自分で気づくきっかけを届けることです。美人になることはゴールではなく、自分らしく生きるための一つの手段です。
自信は、何かを手に入れたから生まれるものではありません。昨日までの自分とは少し違う選択を重ねていくうちに、気づけば育っているものです。
だから、まずは小さな一歩でいいんです。今まで着たことのない服を試着してみる。いつもとは違うアイシャドウを選んでみる。そんな小さな挑戦が、少しずつ見える景色を変えてくれます。
外見が人生のすべてではありません。でも、外見が変わることで勇気が生まれ、自分を好きになり、一歩踏み出せることがあります。
そのきっかけを、一緒につくっていけたら嬉しいです。
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プロフィール
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ライター
大浦 沙織(おおうら さおり)
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